研究計画
本研究では刻々と変容する高大接続改革の内実に即応しながら、新旧の大学入学者選抜方法について学術的見地から比較分析を加え、個別大学の選抜制度設計に資する知見を見出すことを目的とする。
評価観点に対応して比較教育学的問題評価(歴史・比較教育)班、教育測定論的問題評価(教育測定)班、認知科学的問題評価(認知科学・教育心理学)班、調査書分析(主体性等評価)班を置く。また、改革の影響を分析するフィールド調査(フィールド)班を置く。各班かが相互に協力しながら分析枠組みを設定し、実証的なデータに基づく改革の影響予測を行う。最終的にリスク管理も含めた個別大学の入学者選抜への具体的提言を策定する。
研究体制
歴史・比較教育班
- 諸外国の大学入学者選抜に使用される試験問題の調査分析
- 中国、韓国を中心とした東アジアの大学入試問題に関する調査分析
- 大学入学者選抜において一斉テストを実施しているフィンランドを中心とした欧州の大学入試問題に関する調査分析
- CBTによる共通テストの盛んな米国を中心とした北米の大学入試問題に関する調査分析
教育測定班
- 新制度の下でのテストを分析に、国内外の大学入学者選抜で使用される試験問題に対するテスト理論的な性能分析
- 現行のセンター試験、新規導入予定の2種類の共通テストといった大規模共通試験に対して、信頼性、妥当性、等化方法等、教育測定論的性質に関する性能分析
- 主として個別試験の性能分析、テスト理論的に望ましい個別試験の手法の開発
認知科学・教育心理学班
- 新旧の大学入学者選抜試験問題に対する認知科学的な性能分析
- 認知科学的性能分析に必要な計算機統計学理論的基盤の整備
- 学力論的な立場からの試験問題分析、および、CBT プラットフォームの開発
- 各種認知診断モデルによる試験問題分析
教科教育班
- 新旧の大学入学者選抜試験問題に対する教科教育的観点からの評価
- 「聞く」「話す」を含む4技能の測定を英語科の観点からの試験問題評価
- 読解に加えて作文等を含む国語教育学的観点からの試験問題評価
- 実験や観察なども含む理科教育学的観点からの試験問題評価
主体性等評価班
- 新旧の調査書様式を大学入学者選抜に利用する観点からの評価
- 個人情報保護等の観点からの調査書利用にかかわる法的諸問題の条件整備
- 教育制度史学的な観点からの調査書利用にかかわる諸問題の条件整備
- 心理学的公正研究、大学入試実務の観点からみた適正な調査書利用方法の開発
フィールド班
- 新しい制度が特定の分野(看護学を想定)に与える影響の分析
- 新しい入学者選抜制度の下での3つのポリシーの一貫性等の諸問題に関する調査分析